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第五話 人質になる王子

last update Last Updated: 2025-02-18 23:59:33

こちらは黒の国 黒の王宮 人質に選ばれた王子アーシュ

黒の王宮の片隅 静かに 窓辺で本を読んでいる まだ幼い少年

黒髪が風に揺れていた 

「アーシュ兄さま」綺麗に着飾った 美しい少女が部屋に飛び込み 彼に抱き着く

綺麗な美しい衣に艶やかな髪、黒髪は複雑な形で結われて 宝石のピンをつけて

煌めく まだ幼いが極上な美貌の持ち主

少年と少女の宝石 ルビーのような赤い瞳が互いを見ている

「…テイ テインタル」少年は 表情も変えずに ただ一言

「あのね テイは刺繍入りのハンカチを作ったの 使ってね」

頬を赤くして 少女はハンカチを差し出す

「・・・・・」「どうかしら?」

「とても 良く出来ている 嬉しいよ」「うふふ 有難う 兄さま」

あまり表情を変えずに 一言ぽつん

「あの、兄さま 本当に白の国へ行かれるの?」「ああ、父王たちがそう決めた」

哀しそうな表情を浮かべるテイ、テインタル

「私もついて行きたい」テイが抱きついたまま ぽつりと一言

「・・元は敵国 大使というのは名目で人質だ

変な事を言うじゃない 火焔の瞳の王女さま」

「それに 300年、アジェンダ王以来の火焔の瞳の持ち主

 長く出現を待ち続けた 火焔の王女だ

戦の為に生まれてきた魔力を示す宝石のような深紅、火焔の色」 

「弟の瞳の色は 確かに父と同じ色の金色

弟のアジュアリは次に望まれる魔力である黄金、黄金色の瞳ではあるが」 

「将来はお前が間違いなく女王だ」

「それ 変、だってアーシュ兄さまだって 私と同じ赤い瞳よ」

「俺は 人族の寵姫の子 しかも哀れな母のリジャは浚われて 一時、夜の・・多くの者達が母に触れて

あ、いや 何でもない」

「・・長年 子供が出来なかったから 子供が出来やすい人族の女に俺を産ませただけだ」 

「当然だが 俺の魔力も寿命も純血な者達とは違う 半分くらい」

「正妃アリアンさまと父王アージェントの子のお前とは立場が違い過ぎる」

「だから、正統な純血な血を持つのは 異母妹弟テイとアジュアリだけだ」

不満そうに兄アーシュを見つめる 異母妹のテイ

「だって、変よ、兄さま

本来なら 赤い火焔の瞳というだけで この黒の国は・・」テイ

軽く笑みを浮かべ アーシュは手元にあった小壺から手製のクッキーを

取り出して 異母妹のテイの口に押し込む

はぐはぐ モグモグ

「美味しい 兄さまのお手製ね」「まあね 」

「オレンジピールがついて美味しい」

「お褒めに預かり光栄 

では王女様 そろそろ帰らないとお前の母親アリアン王妃さまが またお怒りだ」

「・・・・・」そっとテイは兄の唇に自分の唇を重ね すぐに離す

「兄さま 異母兄妹なら婚姻も可能なのよ 何せ魔力を高める為に

近親婚を重ねたから アジェンダ王の両親も異母兄妹だった」

「アリアン王妃は絶対許さないから、変な事は言わない」

「王女さまに クッキ―を捧げようか」

「もう、じゃあ、またね」

肩をすくめ、手渡された小さな壺に入った 実はアーシュの手製のクッキーを持ち

異母妹ティ、テインタル王女は立ち去る

閉じたドアに ただ、ため息をつくアーシュ、アーシュラン

黒の王妃アリアン、彼女は例えようもない程に美しい、艶かな黒髪

「あの時に俺は…」母親が亡くなり、王宮に来た、あの日 始めて会った王妃は誰より、優しくアーシュを労り、会話した

その優しい暖かな時間は…アーシュが王の側室、寵姫の子供と知るまでは、束の間に続き

淡い恋心…ほのかな想い

だが、今は憎悪だけをぶつけられて

多分、役目通り、自分は敵国でやがては殺される。

それは前の世代の時のように

例えば人質になった者達

大貴族に王族の子供達

「アジェンダ王の妹姫は…人質になり、形だけのはずが殺された アジェンダ王の母親の女王は暗殺」

母親譲りの美しいティ、ティンタル

華やかな光を浴びる、赤い瞳のテインタル王女に 

影に潜むように諦めた冷たい表情のアーシュ,アーシュラン王子

恐らく、人質として処刑される運命が待っているとアーシュは考えていたが‥

だが、運命は皮肉な結末を用意していた。

王国は一度、滅ぼされ、アーシュは最後の黒の王として国の頂点に立ち

敵に捕らわれたテインタル王女は 敵の間者として 生涯を日陰で過ごす

美しい美貌を隠し、ひっそりと……自分の家族を惨殺した敵の為に

身の純潔は火焔の魔力で無事だったものの

敵に従う呪いの入れ墨を彫られ

黒の王アーシュを殺したいという衝動も呪いの入れ墨には入れられて

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    いつものように開催される 黒の王達が主催する宴宴には ほぼ恒例となった 毎度のエリンシアの羽琴の演奏ある複雑な形をした羽琴 その琴を操る者はとても少ない心地よい素晴らしい演奏の後大貴族の一人と通り過ごしに 軽くぶつかった「おや これは失礼」「とんでもない こちらこそ・・あ、ヴァン伯爵」「これは 城の国の羽琴の姫君・・エリンシア姫」緩いウエーブのかかった黒の髪肩程に切りそろえ  黒い瞳の持ち主黒いローブの服 私服はU型で 首元には着飾りの文様の入った服がラインのロープに縁どられている 腰のあたりで勝首元と同じのその上から ベルトかわりに縛って結んでいる真金色の中の入た同じような細き金縁の細く入る紫色のルーブを 肩からななめに横からかけている「最近は 時間も出来て またこの宴に出れましたよ 姫貴方の演奏は いつも楽しみです」「有難うございます ヴァン伯爵さま」「では 向こうにいる大貴族の中の友人が待ってますので また次回の宴を楽しみしております 姫」向こうの人だかりの中に入りに行ったヴァン伯爵リュース公は あの人に気をつけなさいと言っていたすると今度は・・その本人 リュース公がエリンシアの元に来た「これは リュース公様 アルテイア姫はお元気ですか?」「ええ、元気ですよ 最近は魔法や剣の腕もメキメキと腕を上げてますよ特に 水の魔法が素晴らしい・・・いや、これは 私も親バカですね」「そんな事はありませんわ こちらの王宮で滞在されたときに見せてくれた水の魔法は素晴らしいものでした」「どんな 魔法でしたか?」「水を空中に浮かせて その水が蛇のように くねくねと動いたり水が 丸い輪になったりしてましたわ」「ああ、あれですね ところで 姫 先程 ヴァン伯爵と御話されてましたが?」「いえ、肩が軽くぶつかっただけで・・それから 私の演奏を褒めていただいた後お友達の方に行かれました」「なるほど...」小声で エリンシアは問う「本当にあの方は 危険な方なのですの?」「ええ・・危険ですよ」微笑みながら そう話すリュース公「また 黒の王の許可が頂ければ 私の城に 遊びに来てくだっさい アルテイア姫も楽しみに待ってますよ それから 羽琴の演奏は相変わらず 素晴らしかったです有難う エリンシア姫」「ではまた、黒

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    「ねえ エリンシア姫は好きな御方がいるの?」テインタル王女との白の国の歴史などの勉強の後の二人だけのお茶会の時の事「最近 なんだか エリンシア姫は変わったわ 時々、うわの空で 恋する人の目になっている」「まあ、王女様たら そんな事はありませんわ!」まだ幼い少女であるテインタル王女に見抜かれるとは黒の王妃にも気がつかれたら どうしょうか一瞬 戸惑いの顔になるエリンシアに 悪い事を聞いたのかしら?と幼いながらも王女は思い話題を変える「私ね‥好きな御方がいるの・・」「え?」「異母兄妹である私の兄 黒の王子アーシュラン兄さま」ふっふふと頬を赤くして答える「知ってる? 血の濃さを重んじる黒の王族は 異母兄妹 婚姻は可能で許されるの」「早く、戻って来てほしいわお母様は アーシュランお兄様の事を嫌ってるけれど」「じゃあ そろそろ 部屋に帰ります 今日は有難うございます エリンシア姫様」ぺこりと頭を下げて 王女は部屋に戻っていったあのテインタル王女が恋しかも初恋が兄とは・・まあ 兄妹同士の婚姻が可能と言うならそれはそれで、良いかも知れない同じ不思議な深紅、焔の色の瞳を持つ、兄妹確かに 黒の王子アーシュランは まだ幼いながらキリリっとした美男子だった少々、吊り上がった、印象的な、あの焔の瞳あの黒の王妃の美貌を受け継いだ、テインタル王女なら、それはとても、美しい一対になるだろう。しかし黒の王妃は間違いなく猛反対するだろうがそんな事をエリンシアは考えた

  • 羽琴の姫君…羽琴をつま弾く哀しき姫の願いと流転する悲劇の果て2   第16話 悲劇前 穏やかな日々

    平穏な日々・・穏やかに時は過ぎてゆく・・悲劇の時がゆっくり 忍び寄ってきているなどとは・・そう 知らずに・・そしてエリンシアは いつの間にか 黒の王妃の不在の日を心待ちしている自分そう黒の王妃の不在の時には ほぼ必ずと良い程夜半には 黒の王に呼び出される睦言を・・黒の王の瞳を深々と見つめ その美しい黒髪に触れる時が恋しくてたまらくなっている・・などと・・一糸纏わぬ肌に 黒の王がエリンシアの胸先に軽く触れて・・それから・・寝床の中で 身体を抱かれて エリンシアの腕が 黒の王の身体を抱きしめる首筋に触れている王の唇が時折 くすぐったい「あ・・」 王はクスクスと笑っている それは蜜のような甘い時間そして その後 甘い酒を王は口に含み それを口移しにそれを飲ませられる「ん・・」 「味は? 女性向けの蜂蜜入りの果樹酒だ 旨いかな?」「はい、黒の王」 何度もそれを繰り返して、エリンシア姫は沢山、酒を飲まされてそれは少し強い酒で、すぐに酔いが回る酔った身体、 再び王の身体がのしかかる 「あ・・!」しばらく後・・いつものように黒の侍従が呼ばれて、エリンシアを抱きかかえて人目につかぬように 庭を通り抜けてバルコニーから部屋に入り 寝床にそっと置かれ毛布をかぶせられる。侍従の中には 時に彼、黒の王アージェントの竜人アレルドもいた竜人アレルドはテインタル王女の守り人でもあるという「私は三人の王族 彼等の守り人、守護者です 王子のアーシュ様も」「アーシュ様には もう一人 セルトという竜人の守護者がいますが・・」一度だけ彼はそう言った変な話でもある 竜人の守護者は主にとっては一人だけのはず二人も竜人の守護者を持ったのは 700年前にいた黒の女王 伝説の火焔の女王ヴァルジニテだけエリンシアはぼんやりとしていたがバルコニーのドアがとても、小さな音を立てて、閉まった。黒の王妃への申し訳ない思い自分を慕ってくれてる、まだ幼さが残る美しいテインタル姫最近では 赤ん坊だったアリシュア王子も まだ幼い歩きと上手くは喋れないものの王妃達に連れられてやってきては 時にエリンシアの胸に抱かれて笑ったり すやすやと眠むたりするのだが「エ・・エり・・姫 好き・・」王子は 王と同じ金色の瞳で見つめてエリンシアの胸に抱かれて そう言っ

  • 羽琴の姫君…羽琴をつま弾く哀しき姫の願いと流転する悲劇の果て2   第15話 二人の姫の家庭教師 そして、アルティシア姫との別れ

    リュース公の娘アルテイシア姫だけでなく テインタル王女も勉強に加わったテインタル王女もアルテイシア姫も 飲み込みが早く みるみる内に砂に水が染み込むかのように 言語に歴史 白の国の事を習得していった二週間が過ぎようとした頃「本当に お二人とも 覚えが早いですわ あと1か月もしない内に言葉も文字も完璧に覚えてしまいますわね」二人にお茶とお菓子をふるまいながら 微笑むエリンシア「有難うございますエリンシア姫様」「有難うございます」二人ほぼ同時に礼を述べる「エリンシア姫様 アルテイシアは 剣術も魔法もとても上手よ!特に水の魔法・・ねえ アル♪」「テインタル、テイは 楽器の演奏と歌が上手よこの前のリュートの演奏と歌は素敵だったわ ねえテイ♪」年頃が少ししか変わらない幼い少女二人は 愛称で呼び合う程に仲良しになっていた◆ ◆ ◆話をしながらお菓子をほおばり 笑いあう二人に悲しい運命が待っていようなどと知らずに二人に微笑むエリンシア「ねえ そろそろ私の事はアルって言って エリンシア姫!」「わかりましたわでは 私の事をエリンと呼んでくださいね」ふっふふと笑いエリンシアは言ったバルコニーの窓を開け広げた庭には 青い空と花々に小鳥のさえずり 小さい噴水の水音・・穏やかで 楽しいひと時を彩っていたそれから1月のち・・白の国の言葉や文字を完璧に習得したアルテイシア姫は父であるリュース公が待つ 自分の城へと帰っていった「じゃあ!また また会おうね約束よ エリン!テイ!」元気よく手を振って 迎えに来たリュース公の部下を伴い翼竜に乗って帰っていった見えなくなるまで振り返ったままずっとアルテイシアは手を振っていた「またねアル!」同じく手を振るテインタル王女 「お元気で またアル・・アルテイシア姫」エリンシアそれはエリンシアとってアルテイシア姫とは二度と会う事のない約束となるテインタル王女がアルテイシアと再び再会する日は 時が流れて美しい娘たちへと成長して 敵対する二人として剣や魔法を交えての対峙する日の事

  • 羽琴の姫君…羽琴をつま弾く哀しき姫の願いと流転する悲劇の果て2   第14話 アルティシア姫…アルティシア姫のお願い

    まだ幼いながらも美少女 長く美しい流れるよな黒髪、やや吊り上がったアーモンド型の大きな瞳美しい少女後に 戦姫黒の王、火竜王(サラマンデイア)になるアーシュランの片腕・・女将軍となるアルテイシア 妻の一人水と風の属性と守護を生まれながらに持ち特に水の魔法に長けていたゆえに のちに黒の国の水の竜の王の加護を手に入れる水竜の女王、そう呼ばれる事もそうして白の国から処刑されようとして逃げ出したアーシュランを助けるのも彼女の宿命、運命守護者である最後のリュース公であるアルテイシア「母親は 私の護衛の女騎士だったもの数年前に ちょっとした小競り合いの戦で毒矢を受け あえなく亡くなってしまいましたが・・」大事そうにアルテシアの頭を撫でるリュース公リジャイアヌスアルテシアは エリンシアに顔を向けて 微笑む◆ ◆ ◆部屋のドアをたたくノックの音「はい どうぞ・・」「遅くに御免なさい、エリンシア姫様」まだ少女であるリュース公の娘 アルテシイア姫が訪れた。「御気にされずに、どうぞ、いらしゃいませアルテイシア姫様」「アルでも構いませんよ エリンシア姫様」「まあ、そういうわけにも・・で・・ご用件は?姫」◇ ◇ ◇「白の国の事を知りたいの! それに白の国の言葉も文字もお父様も教えては下さるけど 本当はお忙しいし実は ちょっと語学はちょっと苦手なの・・」「黒の王宮では テインタル王女に白の国の言葉と文字を教えてると聞きましたわ」「ええ、その通りですわ」微笑むエリンシア「それだけじゃなくテインタル王女様とお友達になりたいの!」◇ ◇ ◇「素敵な事ですわ!では 黒の王宮にお越しになられるのですね」「ええ もちろん!しばらく滞在するわ もうお父様の許可は取ってあるの」「わかりましたわ 姫様 お好きなお菓子はありますか?勉強の合間に ご用意いたしますね」エリンシアは 子供好きであった 微笑みを浮かべるエリンシア「本当嬉しいわ! お菓子は・・」会話は続き そして早朝にはエリンシアはリュース公の娘アルテイシア姫を伴い 黒の王宮に戻っていった。

  • 羽琴の姫君…羽琴をつま弾く哀しき姫の願いと流転する悲劇の果て2   第13話 リュース公リジャイアスと一人娘のアルティシア姫

    ある時 誘われて エリンシアは 王都から離れた リュース公の湖畔の城を訪れる紹介されたのは 彼の一人娘アル アルテイシア姫 テインタル王女とあまり変わらない年齢  彼の妻は亡くなったそうだ「はじめましてエリンシア姫様姫様はあの羽琴の名手だとか・・今宵の宴を楽しみにしてます」「羽琴は いにしえの4つの羽を持つ女神 その羽の形折り曲げて包み込むような 混じり合った羽 弦もまた 重なり合ってだから、扱いが難しいと聞いてます」「はい 姫様」リュース公の城は 湖畔に浮かぶ美しい城水竜が大きな水音を立てて泳いでいるのが バルコニーからもよく見える宴は多くのリュース公の縁りの者達や友人の貴族などが集まりエリンシアが思っていた以上に 華やかで賑やかであった一人娘 未来の女侯爵は 利発で活発多くの大人相手に 物おじもせずに会話を楽しんでいる宴のご馳走は 湖畔でとれた魚やこの地 地元の果実に 鴨などの肉料理それに白の国の食材を使った白の国の料理・・。リュース公が少し離れた場所に一人立っていたエリンシアに近づき話しかけてきた「どうぞ 楽しんで下さい エリンシア姫そうそう・・ちょっとした昔話などでもよいですか?」「はい」エリンシアは 美丈夫で金の髪のリュース公に答える「実のところ 私は白の国の血が濃くでて、子供の頃は両生体だったのですよ」「そうなんですの?リュース公様」驚くエリンシア確かに 白の国の者は 2人に1人が両生体で生まれるこの方も・・とは「20歳上の兄がいたので、私は女性になるように勧められて よくドレスも纏ったものです」この美しい顔立ち 美しい金の髪に青の瞳、すらっとした身体・・さぞや 美しい少女の姿だったのだろう・・。「一時は 当時まだ王子だった 黒の王に乞われて 側室候補にもなった事もありましたね」「彼とは 一時 恋人同士だったことも・・」含み笑い・・それから肩をすくめて 続けて話を続ける「なにせ 大貴族とはいえ 多くの白の国の血を引くリュース家・・この黒の国では 微妙な立場でね・流石に黒の王妃候補にはなれませんでした」「残念ながら10歳年上の兄が先の戦いで死んでしまったので 私は男性の性を選び、このリュース家を継ぎました。」。戦の間も白の国と親交もある 間を取り持ち 最初の使節の役目はリュース家の

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